ぼろぼろ |
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夢 |
奥歯がぐらぐらするなと思って、舌でつついているうちにコロッと抜けてしまった。
大人の歯のはずなのに。抜けてしまったらもう二度と生えてこない。
そんな馬鹿な。こんなに簡単に抜けてしまうなんて。どうしよう。いやだ。うそだ。
昨日までしっかり生えていたのに。歯科検診も定期的に行っているのに。
途方にくれて、抜けた歯を口の中で転がす。
と、今度は反対側の歯が、ぐらぐらしてきた。
もごもごと口を動かすたびに、奥歯のほうから、ぽろりぽろりと歯が取れる。
気がつくと、口の中が抜けた歯でいっぱいで、ジャラジャラと音がする。
吐き出したいけど、吐き出したら、もう取り返しのつかないことになってしまうような気がして。
歯の抜ける痛みと、抜けた後の疼きに耐えながら、口いっぱいの歯をジャラジャラさせることしかできない。
若くして総入れ歯か、と悲観にくれたところで目が覚める。
そんな歯が抜ける夢をたびたび見る。何回も見ているのなら、途中で夢と気がつきそうなものだが、いつも夢のあまりの生々しさにだまされてしまう。歯が抜けそうでぐらぐらするときのあのなんともいえない不安感や、抜けそうな・抜けてしまった歯を執拗に舌でなぶる感覚だとか、歯の抜けた後の歯肉の無防備さとか。なんで、こんなにリアルなんだろう。歯が抜けるということは、人間誰でも子供のときに体験している。その体験が、いつまでも体の中に残っていて、ふと瞬間に夢として再生されるのだろうか。子供のときに感じた、乳歯が抜け落ちる感覚というのは、それほどにまで鮮烈なものだったのだろうか。子供なりに、何かが喪失される感覚に、恐怖を覚えていたのだろうか。
投稿者 4wz7u9 | 返信 (3) | トラックバック (0)